- フリースプラングってなに？
- テンプの役割とは？
- なんでテンプってそんなに種類があるの？
- テンプの種類や構造についてもっと知りたい。
こんな疑問をお持ちの方のために、現役時計修理技術者が忖度なしにご紹介。
テンプについて、わかりやすく解説します。
結局スプリングドライブってクォーツ時計でしょ？ コーアクシャル？マスタークロノメーター？ トゥールビヨンって何のため？ 構造はどうなってるの？ 普通の脱進器と何が違うの？こんな疑問をお持ちの方のために、脱進[…]
1．テンプとは？
テンプとは、振り子時計でいう 振り子 のことです。
振り子時計が、左右へ円弧を描き、往復運動するのに対して、
テンプは、回転の往復運動をすることで一定の時間間隔を作り出しています。
専門用語では調速機とも呼ばれ、その名の通り、時計の進み遅れをつかさどるパーツです。
つまり、機械式時計の心臓であり、時計の精度を決める大事なパーツになります。
腕時計における精度の進化は、このテンプの進化といっても過言ではありません。
ひとえにテンプと言ってもその中にはたくさんのパーツと役割が詰め込まれています。
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2．テンプの構造と仕組み
最もポピュラーなテンプでその構造を解説します。
こつば : 時計の止まりを防ぎます。
振り石 : アンクルがこのパーツを押すことでテンプが回転します。
おおつば : 振り石を保持しています。
てんわ : 最もよく見えるパーツですね。径が大きいほど精度が上がるとされています。
ひげゼンマイ : 渦巻き状のばねです。このばねの伸縮によりてんわが戻ってきます。
天真 : テンプの軸です。最も細い部分は髪の毛ほどの太さです。
テンプの大きさや構造はムーブメントにより様々です。
特にてんわの形状には様々なものがありますので、次項でご紹介します。
3．テンプの種類
テンプは時計の精度を決めるとても大事なパーツです。
精度は、機械式の場合、日差(一日の進み遅れ)として表され、それぞれのブランドや機関でその規格があったりします。
また時計は姿勢差、温度差、等時性等、いろいろな環境でその精度を満たすため、このテンプと緩急針で調整されています。
それらの調整方法や材料などにより、テンプにも様々な種類、形状があります。
今回は、テンプの進化と共に、時系列でその代表的なものの種類をご紹介します。
①バイメタルキリテンプ
アンティーク時計等で見ることができ、写真のようにテンワ上に２色の材料と、切れ目を確認することができます。
まだ、温度変化に対応した材料がなかった時代、二つの材料を張り合わせ、温度変化により、テンプの径を変化させることで、温度変化による歩度の変化に対応しました。
また外周に取り付けられた、チラねじと呼ばれるねじを削ることでも、調整されていました。
②モノメタル＋緩急針
緩急針によって、姿勢差、等時性(※)が調整できるようになったことで、調整が非常に楽になり、精度も格段に上がりました。
現在でも、多数の時計で採用されています。
※腕時計では主に、振角の変化に伴う歩度の変化の事を言う。
③フリースプラング (ジャイロマックステンプ)
しかし裏を返せば、微調整しかできません。
製造段階でかなりの精度が要求され、つまりは高い製造精度を持っていないとできない方式とも言えます。
高級時計によく使われているのもその為です。
④特殊材料
また最近では、シリコンや新たな特殊合金によるひげゼンマイや、ガンギ車、アンクル等が開発され、精度向上や、磁気による精度の低下防止が図られています。
さあ、あなたの時計はどうなってますか？
まとめ
いかがでしたでしょうか。
テンプ（調速機）は大変奥の深いパーツの一つです。
今回は初級編をお送りしましたが、もっと知りたいという方はお問い合わせから要望頂けれは幸いです。
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