- わからない時計の部品名称がある。
- 自動巻き時計の中身ってどうなってるの?
- 自動巻きムーブメントのパーツにも名称がついてるの?
- ざっくり、簡単に腕時計ムーブメントの部品名称が知りたい。
こんな方にピッタリ、自動巻き腕時計の部品名称について、現役時計修理技術者がご紹介。
イラスト付きでわかりやすく解説します。
時計の【部品名称】すべてわかります!〈自動巻きムーブメント〉
機械式時計ムーブメントの部品名称は、その形や役割から名称がついたり、英語やフランス語がそのままカタカナになったり、その由来は様々。
今回は、時計の中身、自動巻きムーブメントのパーツ名称についてご紹介します。
ムーブメントの展開図をもとに解説いたしますので、その構造についても一目で分かります。
時計の機械式、自動巻きムーブメントにご興味のある方はぜひご覧ください。
手巻きムーブメントについてもご紹介しています。
初心者の方はまずそちらからどうぞ。
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時計の外装部品の部品名称はこちらから↓
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1.自動巻きムーブメントの部品名称(表)

時計のムーブメントは、テンプや輪列がある側を「表」と呼びます。
つまり大抵の場合、時計自体の裏蓋側がムーブメントの表となり、ダイヤル側を「裏」と呼びます。
①丸穴車中間車
巻上の際に丸穴車と角穴車中間車を繋ぎます。
逆回転の時、角穴車中間車から離脱して空回りします。
②丸穴車
巻き芯を巻く力を丸穴車中間車に伝えます。
角穴車に対して、丸穴車と呼ばれます。
③角穴車駆動車
自動巻きの回転を角穴車に伝えます。
④1番受/香箱受
香箱を地板と、この受で挟み込み、香箱を組込ます。
このムーブメントの場合は、2番車もこの受の下に組込まれます。
⑤輪列受/2番受
主に輪列の歯車を地板に組み込みます。
このムーブメントの場合は、3番車、4番車、がんぎ車を組み込んでいます。
⑥4番車
3番車の次にかみ合う4番車です。
このムーブメントでは、この歯車が1秒間に1回転するので、秒針を取り付けて、秒表示します。
4番車が時計の中心に配された、いわゆるエタ輪列の象徴です。
⑦角穴車
香箱の香箱真を巻き上げるので、滑り防止のため、穴が四角になっています。
その穴にちなんで、角穴車と呼ばれます。
⑧ガンギ車
4番車の次にかみ合う歯車です。
一般的に時計のムーブメントでは、この歯車をガンギ車と呼びます。
この次にアンクルとかみ合うため、歯車が特殊は形をしています。
⑨香箱
中にぜんまいを収納していて、時計ムーブメントの動力源となるパーツです。
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⑩3番車
2番車の次にかみ合う3番車です。
⑪センターチューブ
4番車とツツカナ車を地板の中心に組み込むためのチューブ状のパーツです。
地板に圧入されています。
⑫2番車
時計の基本輪列では、香箱を1番として順に2番、3番、4番と歯車をかみ合う順に呼びます。
この車は香箱の次にかみ合うので2番車と言います。
⑬地板
すべてのパーツが組み込まれる土台となるパーツです。
⑭コハゼ受
コハゼばねを含む、巻上関連のパーツを輪列受けに組み込むための受けです。
⑮コハゼばね
常に角穴車の歯と接触するようになっています。
このムーブメントでは、このばね自体がコハゼの役割をしています。
⑯角穴中間車
丸穴車中間車の回転を角穴車に伝えます。
⑰耐震装置(受側)/テンプ軸受(上)
テンプの摺動部となり、テンプの軸、天真(※)を衝撃から守ります。
インカブロックや、キフショック等、メーカーにより様々な形のものがあります。
※天真:テンプの軸のこと。
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⑱緩急針
時計の進み遅れを調整します。
⑲ひげ持ち受
ヒゲゼンマイのひげ持ちを固定すると共に、ヒゲゼンマイの片振り(往復運動の中心)を調整します。
⑳テンプ受
テンプを組み込む受です。
緩急針、ひげ持ち受、耐震装置もこの受に組み込まれます。
㉑巻き真
ツヅミ車、キチ車、リューズを時計とムーブメントに保持します。
㉒テンプ
テン輪やヒゲゼンマイを含みます。
往復運動することにより、時計を定速で動かします。
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㉓アンクル受
アンクルを組み込むための受けです。
㉔キチ車
時計回りの時、巻き真の回転をツヅミ車に伝えます。
逆回転の時、ツヅミ車と滑って空回りします。
㉕ツジミ車
リューズが定位置のときはキチ車と、リューズを引いた際は、小鉄車とかみ合い、回転を伝達します。
㉖耐震装置(地板側)/テンプ軸受(下)
地板側の耐震装置です。
役割は受側の耐震装置と同じです。
㉗アンクル
がんぎ車からの動力をテンプに伝え、テンプからの等速運動をがんぎ車に伝えます。
詳しい仕組みはこちらから↓
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2.自動巻きムーブメントの部品名称(自動巻き部)

㉘ローター/回転錘
文字通り錘になっており、腕の動きによって回転します。
㉙伝え車/減速伝え車
ローターの回転を伝達します。
また減速することにより、回転トルクを大きくしています。
㉚自動巻き受
自動巻機構を載せて、ムーブメントに組み込まれます。
㉛自動巻き伝え受/自動巻下受
自動巻き受に歯車を保持します。
㉜伝え車中間車
回転を次の歯車に伝えます。
㉝切替車
一方向の回転のみを次の歯車に伝え、逆回転の時は滑って回転を無効にします。
㉞減速車
歯車の回転を伝達します。
また減速することにより、回転トルクを大きくしています。
㉟減速車中間車
歯車の回転を伝達します。
3.自動巻きムーブメントの部品名称(裏)

㊱日の裏車
ツツカナとツツ車を連結しています。
ツツ車を1時間に1回転の回転数にするため、ツツカナの1分に1回転の速度を減速しています。
㊲日押さえ
日送り中間車と日車ジャンパーを地板に保持します。
㊳日送り中間車/日回し中間車
回転を伝えます。
㊴日車ジャンパー
日付毎に日車を適切な位置に保持します。
㊵小鉄作動レバー/日車早送り操作レバー
巻き真の動きによりレバーが回転し、小鉄車と小鉄車中間車、小鉄車と日の裏車とのジョイントを切り替えます。
㊶日送り車/日回し車
1日に1回転して日車を回転させます。
㊷日車/カレンダーディスク
1日から31日までの日付が書かれたディスクで、内側に歯が切ってあります。
㊸ツツ車/時針車
時針が付けられる車です。
12時間に1回転します。
㊹日の裏押さえ
日車、小鉄車、小鉄車中間車、日車早送り車、日の裏車を地板に保持します。
㊺ツツカナ車/分針車
分針が取り付けられるパーツです。
1時間に1回転します。
㊻裏押さえ
裏周りのパーツを押さえて、地板に組み込みます。
㊼オシドリ
リューズの押し引き運動をかんぬきに伝えると共に、そのポジションをキープします。
㊽カンヌキ
リューズを引いた際、オシドリに押されてツヅミ車を小鉄車にかみ合わせ、時間調整を助けます。
㊾小鉄車
巻き真の回転を小鉄中間車に伝えます。
㊿日車早送り車
日車を早送りするための車です。
51日車押さえ
日車を地板に保持します。
52小鉄車中間車
小鉄車の回転を日ノ裏車に伝えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は自動巻きムーブメント偏をお送りしましたが、他のムーブメントについても知りたいという方はお問い合わせから要望頂けれは幸いです。
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