- パワーリザーブって何?
- どれくらいのパワーリザーブを選べばいいの?
- パワーリザーブの仕組みや、インジケーターについてもっと知りたい。
- パワーリザーブが見えると何かいいことあるの?
- パワーリザーブインジケーターっている?
こんな疑問をお持ちの方のために、現役時計修理技術者が、忖度なしに、わかりやすく解説します。
解説!パワーリザーブ【インジケーター】の種類や機能、役割について
1. パワーリザーブとは?
パワーリザーブとは、時計の最大駆動時間のことです。
つまり、時計が止まるまでの時間のことで、時計の種類によって少し概念が違います。
①手巻きの場合 : ゼンマイを巻き上げてから止まるまでの時間です。
②自動巻きの場合 : 時計を外して動かさずに置いてから、時計が止まるまでの時間です。(外した時に全巻であると仮定)
③クォーツの場合 : 一般に電池寿命と言われます。数か月~数年のものが主流です。
④ソーラー時計の場合 : 太陽光等から遮断されてから、動き続ける時間です。(遮断時にフル充電であると仮定)
機械式時計において、パワーリザーブを決めるのはゼンマイであり、基本的にゼンマイを大きくすればパワーリザーブは長くなりますが、時計は大きく重たくなります。
各メーカーやブランドは日々、時計を大きくしたくないけど、パワーリザーブは長くしたいというせめぎあいをしています。
パワーリザーブを 48 時間から 72 時間へ、168 時間から 192 時間へと工夫して伸ばそうとしています。
つまりそれは、週末2日休んでも月曜の朝まだ動いている、一週間休んで時計を着けなくても時計が止まらないという、時計を普段使いしてもらい、わずらわしい時計合わせ(カレンダー、ムーンフェイズ等も)をなるべく避けて貰おうという時計ブランドの挑戦なのです。
自分の生活スタイルから、パワーリザーブを選ぶのも一つの選択肢と言えます。
下記記事で、パワーリザーブ40Hの自動巻き時計の使用例を紹介しています。
参考にして下さい。
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2. 時計の動力源、パワーリソース
どうして時計によってパワーリザーブがこんなに違うのか、また、概念が違うのか。
時計の動力源、パワーリソースを理解するとわかりやすくなります。
時計によって、その動力源が異なります。
①機械式時計: ゼンマイ
②クォーツ: 電池
また、その動力源にエネルギーを補充する仕組みがあります。(付加機能)
①機械式時計:腕の動き(自動巻き)、気温差(後述)。
②クォーツ: 太陽光(ソーラー)、充電 (スマートウォッチ)など。
この動力源と補充タイプにより、パワーリザーブの概念に違いが出るんですね。
補充の仕組みがある場合 : 補充できなくなった状態から、パワーリザーブをカウント。
補充の仕組みがない場合 : 単純に動力源のパワーリザーブのみをカウント。
パワーリザーブとは、動力源が満タンの状態から、エネルギーが補充されずに動き続けられる時間ということになります。
3. パワーリザーブ インジケーターの意味と種類
基本的に普通の時計は、自分が着けているときに、動力源がどれくらい残っているのか見えません。
パワーリザーブ インジケーターはそれを見えるようにしてくれたものです。
自動車のガソリン残量メーターと同じことです。
自動巻きでも、パソコン仕事ばかりだとゼンマイは巻かれません。
ソーラー時計でも、曇りの日や室内だと十分に充電されません。
そんな時、時計が止まる前に自分で動力を補充するアクションが出来ます。
また自分の生活スタイルでどれくらい自動巻きが巻いてるのか、電池が充電されるのか (ソーラーの時) 確認することが可能です。
自動車が止まる前にガソリンを入れるのと同じことです。
そのデメリットとしては、
・ムーブメントの部品点数が多くなる。
・部品点数が多くなる分、値段や修理代が高くなることがある。
・パワーリザーブが常に気になってしまう。
等が考えられます。
パワーリザーブ インジケーターには次のようなものがあります。
①指針式

③ラック式
4. 永久機関
人類の夢、永久機関をご存じでしょうか。
ここまで、パワーリザーブ、パワーリソースについて紹介してきたので、最後に永久機関についてもご紹介したいと思います。
永久機関とは、広辞苑によれば
第1種と第2種がある。
第1種は外からエネルギーをもらわずに、いくらでも仕事をすることができる装置。
第2種は、ただ一つの熱源から熱をとり、これを全部仕事に変えて他に何の変化も残さず周期的にはたらく装置。
両機関とも経験上不可能とわかり、第1種永久機関は熱力学第1法則(エネルギー保存則)、
第2種永久機関は熱力学第2法則(エントロピー増大則)の基礎となった。”
時計に置き換えれば、何もしなくても、永遠に動き続ける時計、パワーリザーブ永遠の時計ということですね。
今まで永久機関について、たくさんの実験や研究がなされてきました。
アルキメデスの無限螺旋
ダヴィンチの永久機関
ボイルの永久機関

1 度の温度変化で 2 日分の動力を得ることができるため、半永久的に動き続けるというわけです。
細い角型のワイヤーで吊るされたもので、1 分間に左右 1 回転します。
しかし、メーカー修理も万全ですし、何より見ているだけで飽きません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
時計選びの際に迷いがちなパワーリザーブについて解説しました。
自分に合った、最高の時計を選ぶ際の参考になれば幸いです。
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