【世界三大時計ブランド】その魅力と人気の理由

  • 世界三大時計ブランドとは?
  • 三大ブランドと言われる理由は?
  • ロレックス?オメガ?
  • 3大ブランドの時計を買うならどのモデル?

こんなお悩みをお持ちの方のために、現役修理技術者が、忖度なしに解説します。

今回は、3大ブランドのモデルを 3点づつ上げて、その魅力をご紹介。

時計選びの参考になれば幸いです。

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雲上ブランドThe Holy Trinityとも呼ばれ、その確固たる地位を築く世界三大時計ブランド

時計を愛でる者として、避けて通ることはできません。

今回はその世界三大時計ブランド、それぞれのモデルを 3点づつピックアップして、その魅力についてご紹介したいと思います。

世界三大時計ブランドとは?

世界三大時計ブランドとは、
・Vacheron Constantin (ヴァシュロンコンスタンタン)
・PATEK PHILIPPE (パテックフィリップ)
・Audemars Piguet (オーデマピゲ)
の 3ブランドです。

共に深い歴史を持ち、創業以来その歴史が途絶えたことがありません。
しかもただ長いというだけでなく、その歴史の中で、王侯貴族にも愛され、ブランドとして格式ある地位を築いてきました。

その技術力にも定評があり、今では当たり前になっている革新的技術をいくつも発表してきたことでも知られています。

つまり、世界三大時計ブランドとは、
世界大戦や、世界恐慌、クォーツショック等も乗り越え、今も伝統的革新的な時計を世に送り出し続けるマニュファクチュール(※)ということです。

ここでは、その魅力についてご紹介したいと思います。

※マニュファクチュール:全ての部品を自社で生産するメーカー(完全マニュファクチュールなど解釈は複数あり)

ブランド紹介

1. Vacheron Constantin (ヴァシュロンコンスタンタン)

3大ブランドの中でも、最も長い歴史を持つヴァシュロンコンスタンタン。
創業1755年以来、その歴史が途絶えたことがない最古の時計ブランドとして有名です。

また、その長い歴史の中で、ロシア皇帝アレクサンドル2世や、エジプト王など世界の王侯貴族や資産家たちが愛用したことでその格式、信頼、尊厳を確固たるものにしてきました。

▲ Vacheron Constantin
1946年、ヴァシュロン・コンスタンタンは、エジプトファルーク国王のために超絶級の複雑時計を製作します。
開発に5年もの歳月が費やされ、14もの複雑機構が搭載されているそうです。
幼くして国王となったファルーク国王はヨーロッパ一周旅行に出る際、ヴァシュロン・コンスタンタンの訪問を強く希望したそうです。
ムーブメントのパーツに着想を得たというマルタ十字シンボルとして採用しており、デザインの各所に採用されているそのシンボルは、一目でそれとわかるインパクトを与えています。
▲ Vacheron Constantin

それでは、そのモデルを紹介していきましょう。

①「オーヴァーシーズ・オートマティック」Ref. 4500V/110A-B483

▲ Vacheron Constantin
素材ステンレススティール
サイズ41 mm
防水性能15(気圧)
ムーブメント5100
特徴・機能自動巻き
ジュネーブ・シール
パワーリザーブ60(時間)
参考価格¥2,662,000

ヴァシュロンコンスタンタンの中でも今、断トツの人気を誇るオーヴァーシーズ
ラグジュアリースポーツウォッチの中でも高い人気を誇ります。

ベゼル、ブレスレットにマルタ十字が大胆にデザインされているのが大きな特徴です。

モデル名からも分かるように、旅のスピリットを持つ本モデルは、方位図からインスピレーションを得たいうという、美しい自動巻きローターをシースルーバックから覗き見ることができます。

さらに、ブレスレットやストラップを付け替えることにより、フォーマルからスポーツまで、シーンを選ばずに使用できるのもうれしいところです。

↓こちらの記事、第3位でオーバーシーズを紹介しています。

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②「フィフティーシックス・コンプリートカレンダー」Ref. 4000E/000A-B548

▲ Vacheron Constantin
素材ステンレススティール
サイズ40 mm
防水性能3(気圧)
ムーブメント2460 QCL/1
特徴・機能自動巻き
ジュネーブ・シール
パワーリザーブ40(時間)
参考価格¥3,124,000

2018年に発表された本コレクション。
1956年に誕生した 6073 から生まれ変わりました。

ラグマルタ十字の 4枝がアレンジされています。

6時位置のムーンフェイズには高精度ムーンフェイズが搭載されており、通常のムーンフェイズでは 3年に 1度の調整が必要なところ、こちらの高精度ムーンフェイズでは 122年間調整不要のものとなっています。

ムーンフェイズ豆知識
一般的に月の周期は 約29.5日 (29日12時間) と認識されていると思います。
しかし実際は平均で 29日12時間44分2.8秒 程度です。
よってこの誤差を調整する作業が必要となるわけです。一般的なムーンフェイズが 29.5日 (29日12時間)で設計されているのに対して、上記高精度ムーンフェイズは 29日12時間45分 で設計されています。
その誤差は 57.2秒/周期 程度です。
この誤差が積み上がり、約1日 程度の誤差が生まれるのが 122年後ということになります。
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③「ヒストリーク・アメリカン 1921」Ref. 82035/000R-9359

▲ Vacheron Constantin
素材18Kピンクゴールド(5N)
サイズ40X40 MM
防水性能3(気圧)
ムーブメント4400 AS
特徴・機能手巻き
ジュネーブ・シール
パワーリザーブ65(時間)
参考価格¥4,356,000

その名の通り、”1921年、米国市場向けにデザインされたモデル” が新しく生まれ変わりました。

クラシックなクッション型ケースに、腕を傾けずに時間を読み取れるデザイン、まさに、機能性デザイン性を合わせ持った、おしゃれ上級者の時計ではないでしょうか。

「狂騒の20年代」と呼ばれる 1920年代のアメリカで生まれたこの時計。
当時の活気に負けない情熱を持っている、または持ちたいあなたにぜひ着けていただきたい時計です。

2. PATEK PHILIPPE (パテックフィリップ)

創業1839年、その長さこそヴァシュロンコンスタンタンには敵いませんが、その歴史の厚みは、誰もが認めるところではないでしょうか。

ローマ教皇やアインシュタイン、ヴィクトリア女王等々、超一流の顧客を抱える、超一流ブランドです。

また、ブランド名「パテックフィリップ」の片翼を担う時計師ジャン・アドリアン・フィリップが発明したリューズによるゼンマイの巻上げは、今では当たり前の機構として多くの機械式時計に採用されています。

技術力はもちろんのこと、その芸術性も高く、スイス、ジュネーブにあるパテックフィリップミュージアムの展示品などは、圧巻です。
その価値を測るのは大変難しいことですが、右の「グランドマスター・チャイム 6300A-010」は 2019年、オンリーウォッチ・オークションに出品され、過去最高値の 3,100万スイスフラン (当時のレートで 33億5千万円) で落札されました。

①「ノーチラス」Ref. 5712/1A

▲ PATEK PHILIPPE SA
素材ステンレススチール
サイズ40 mm
防水性能6気圧
ムーブメント240 PS IRM C LU
特徴・機能自動巻
パワーリザーブ表示
ムーンフェイズ
ジャイロマックス
パワーリザーブ最小38時間、最大48時間
参考価格6’160’000 JPY
ノーチラスの誕生は 1976年。
フランスのSF小説に登場することで有名な潜水艦の「ノーチラス号」をモチーフに、天才時計デザイナーとして知られるジェラルド・ジェンタ氏によりデザインされました。
船の船窓からインスピレーションを得たというベゼルケース、高い防水性能を満たすために生まれたと言われる左右の「耳」が大きな特徴です。
誕生以来、さらに進化を続ける大人気モデルです。

②「カラトラバ」Ref. 6119R

▲ PATEK PHILIPPE SA
素材ローズゴールド
サイズ39 mm
防水性能3気圧
ムーブメント30‑255 PS
特徴・機能手巻
スモールセコンド
パテック フィリップ・シール
パワーリザーブ最小65時間
参考価格3’894’000 JPY
名実ともにパテックフィリップのフラッグシップコレクションと言えるカラトラバ。
シンプルなカラトラバのベゼル部に施された、「クルー・ド・パリ」と呼ばれるギョシェ装飾が、アクセントになっています。
ムーブメントは新型ムーブメント、Cal. 30-255。
2つのバレルを搭載することにより、パワーリザーブも 65時間 となっています。
↓こちらの記事、第1位でカラトラバを紹介しています。
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③「ゴールデン・エリプス」Ref. 5738P

▲ PATEK PHILIPPE SA
素材プラチナ
サイズ34.5 x 39.5 mm
防水性能3気圧
ムーブメント240
特徴・機能自動巻
ジャイロマックス
パテック フィリップ・シール
パワーリザーブ最小48時間
参考価格7’249’000 JPY
1968年に発表された、ゴールデン・エリプス。
その名の通り、円と長方形の融合した楕円形(エリプス)のケースを有します。
しかもその縦横比は、1 : 1.6180 という黄金比率によりデザインされているとのこと。
独創性のあるデザインにもかかわらずロングセラーを続ける秘密はそこにあるのでしょうか。

3. Audemars Piguet (オーデマピゲ)

その創業以来、変わらず創業家による経営が踏襲され、当時の創業地、スイスのル・ブラッシュで経営を続けるオーデマピゲ。
長きに渡り一度も買収されることなく、創業者一族によりその経営権が守られているということから、経営者にも縁起の良いものとして愛される時計となっています。

また、その技術力は突出したもので、
1882年には「グランドコンプリカシオン懐中時計」
1892年には「ミニッツリピーター搭載の腕時計」
1986年には「自動巻きトゥールビヨン」等々、時代ごとに数々の先進的な時計が発表されており、世界で初めてステンレススチールをラグジュアリーウォッチに採用したブランドとしても知られています。

複雑時計開発集団として有名なルノー・エ・パピも、オーデマピゲ出身者により創業されているのです。

①「ロイヤル オーク クロノグラフ」Ref. 26715ST.OO.1356ST.01

▲ Audemars Piguet
素材ステンレススティール
サイズ38 mm
防水性能50 m
ムーブメント2385
特徴・機能自動巻き
クロノグラフ
スモールセコンド、デイト表示
パワーリザーブ40 h
参考価格¥3,740,000

1972年、現在高い人気を誇るラグジュアリースポーツウォッチ先駆け的存在としてロイヤルオークが誕生します。

天才時計デザイナーとして知られるジェラルド・ジェンタ氏によりデザインされました。

八角形のベゼルと 8個の六角形ビスは、コレクションのトレードマークとなっており、当時としては初めて、ラジグジュアリーウォッチの素材としてステンレススチールが採用されました。

今現在も、その人気を誇り続ける本モデルのデザインは、なんと 1日で出来たとされています。
しかも、その防水性能はジェンタ氏の聞き間違いにより付加されたそうです。

このロングセラーの大人気モデルのデザインが、一日で出来たなんて驚きですが、革新的デザインは時に、そんなものなのかもしれないと思わされてしまいますね。

②「ミレネリー フロステッドゴールド アベンチュリンダイヤル」Ref. 77244BC.GG.1272BC.01

▲ Audemars Piguet
素材18Kホワイトゴールド
サイズ39.5 mm
防水性能20 m
ムーブメント5201
特徴・機能手巻き
スモールセコンド
パワーリザーブ49 h
参考価格¥6,280,000

1995年誕生の「ミレネリー」。

そのモデル名からも、オーデマピゲが来る 21世紀に向けて開発・発表したモデルであることが伺えます。

ダイヤルがオフセットされ、ムーブメントのテンプダイヤル側から覗くことができます。
美しいダイヤルケースデザインと、ムーブメントの動き・美しさを同時に表側から鑑賞することができる画期的なデザインとなっています。

そして、この画期的なデザインを可能にしたムーブメント、Cal.4101 の開発に日本人、浜口尚大氏が参加されていたのも興味をそそられるポイントです。

③「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック」Ref. 15210CR.OO.A002KB.01

▲ Audemars Piguet
素材18Kピンクゴールド+ホワイトゴールド
サイズ41 mm
防水性能30 m
ムーブメント4302
特徴・機能自動巻き
センターセコンド
パワーリザーブ70 h
参考価格¥3,795,000

2019年に発表された CODE 11.59。
CODEは「Challenge(挑戦)」「Own(継承)」「Dare(追求心)」「Evolve(進化)」の頭文字から、11.59は日付が変わる最後の1分に由来します。

一見オーソドックスに見えるデザインも、
少し時計を傾ければ文字盤の表情は変わり、
横から見ると八角形の胴が存在感を放ち、
を返せばムーブメントを覗くことができます。

それを可能にしたのは、
ラグベゼル一体型とした構造、
サンバースト模様のラッカーダイヤル
ダブルカーブのサファイヤクリスタルとシースルーバックです。

どの角度から見ても飽きない、いつまでも見ていられる革新的な時計ではないでしょうか。

長い歴史を持ちながらもチャレンジ精神を忘れない、前衛的な存在感を持つオーデマ ピゲの最新コレクションです。

ロレックスが世界三大時計ブランドに含まれない理由

1905年ロンドンで、時計商社としてスタートした、ロレックス。

懐中時計から最高の実用時計として時計を作り替え、腕時計の普及に大きく貢献しました。

今では、入手困難な圧倒的知名度を誇るステータスシンボルなブランドとして、時計業界のトップに君臨しています。

そのリセールバリューもお墨付きで、時計愛好家だけにとどまらず、投資家にも注目され続けている唯一無二のブランド。

時計三大ブランドとはまた異なった歴史コンセプトで、世界中のファンに愛されています。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。
いつかは 1本欲しい、こんな時計を持つために頑張ろう、そう思えるような魅力的な時計ばかりですね。

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Vacheron Constantin (ヴァシュロンコンスタンタン)

「オーヴァーシーズ・オートマティック」Ref. 4500V/110A-B483「フィフティーシックス・コンプリートカレンダー」Ref. 4000E/000A-B548「ヒストリーク・アメリカン 1921」Ref. 82035/000R-9359

PATEK PHILIPPE (パテックフィリップ)

「ノーチラス」Ref. 5712/1A「カラトラバ」Ref. 6119R「ゴールデン・エリプス」Ref. 5738P

Audemars Piguet (オーデマピゲ)

「ロイヤル オーク クロノグラフ」Ref. 26715ST「ミレネリー フロステッドゴールド アベンチュリンダイヤル」Ref. 77244BC「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック」Ref. 15210CR
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